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ドイツ刑法学研究ブログ

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2005年 03月 10日

既遂への密度に基づく特別関係Spezialität kraft Vollendungsdichte

予備→未遂→既遂、この関係は従来は補充関係と捉えられてきた。ここにおける法条競合の実質的な根拠は、既遂との近さ、すなわち既遂への密度である。既遂の刑罰の対象は、未遂後の行為だけが対象となっているのではなく、未遂をも含めたその行為全体に対するものである。したがって既遂が成立すれば、未遂可罰性はその背後に退くことになる(Jakobs 31/26)。但し予備が既遂犯に含まれない加重的メルクマールを含んでいる場合、法条競合は排除される。例えば強盗強姦の予備行為が強盗未遂を経て、窃盗の既遂にのみ至った場合、強姦予備と(窃盗既遂を包摂する)強盗未遂は法条競合の関係に立たない(31/27)。

by strafrecht_at | 2005-03-10 19:37 | 罪数論


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