ドイツ刑法学研究ブログ

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2014年 02月 20日

法条競合における択一関係について

わが国では法条競合を①特別関係②補充関係③吸収関係④択一関係に分類するのが一般的であるが、現在のドイツの教科書・注釈書等では④の択一関係は除かれているのが通常である。
この択一関係の概念は、Bindingの分類に由来するものであり(Binding, Handbuch des Strafrechts, Duncker & Humblot, 1885, S. 349)、「同一の行為に異なる法的観点から複数の法規によって異なる刑罰が科されている場合に、それらの法規は、それ以外の法規が当該法規よりも重い法規を含んでいる場合には適用できない」とする原則をあらわすとされたが、それは既にFrankらよって過剰な類型であり、特別関係ないし補充関係に解消されうるとして批判されていた(Frank, StGB 18. Aufl. 1931, § 73 Anm. VII 3)ものである。
ところがわが国ではこの本来の意味と異なって「一方が成立すれば他方は論理的に成立しえない排他的関係に立つ場合で、一方のみが適用される」ものと理解されるのが通常であった。しかしそれならばそもそも競合関係は成立しておらず、それを法条競合と考えることはできない(山中)。(未完)
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# by strafrecht_at | 2014-02-20 20:51 | 罪数論
2014年 01月 29日

罪数論

********************
第3部 競合
 第7章 仮象的競合と真正競合
  第31節 仮象的競合(いわゆる法条競合)
Ⅰ 基本概念と競合論の基本モデル
 Ⅱ 法条競合の諸原理
  A 法条競合の形式としての特別関係
   1 原則
   2 犯罪の事例グループへの法条競合の限定
  B 法条競合の想定のための根拠
 Ⅲ 法条競合の個々の事例グループ
  A 記述強度による特別関係
  B 既遂密度関与および結果強度による特別関係(補充関係)
  C 随伴行為への特別関係(吸収関係)
  D 先取りによる特別関係(共罰的事後行為)
 Ⅳ 法条競合の作用
  第32節 真正競合および単純な、量的に拡大された構成要件実現における行為の単一性
Ⅰ 刑法52条の意味における行為単一
  A 「自然的」意味における行為単一
  B 「自然的」行為の単一の拡張としての法的行為単一
   1.52条における行為の意味 
   2.法学的行為単一
   3.刑法的行為単一の基準
    a) 主観的単一性
    b) 遂行の単一性
Ⅱ 行為の数と犯罪の数の関係
  A 複数説
  B 単なる量の増加における複数の法律違反の否定
Ⅲ 行為結合的構成要件
Ⅳ 法条競合の作用
  A 集合犯
  B 自然的行為単一
  C 連続関係
第33節 観念的競合と実在的競合
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# by strafrecht_at | 2014-01-29 19:01 | 罪数論
2013年 08月 10日

Pawlik教授の授業(2013/2014冬学期)

1. Seminar zu Fragen der strafrechtlichen Handlungs- und Tatbestandslehre
2. Übung im Strafrecht für Anfänger II
Mo, 14-16 Uhr c.t.
Mo, 21. Oktober 2013
Inhalt
Anhand von Fällen, die überwiegend der aktuellen Rechtsprechung entnommen sind, behandelt die Veranstaltung die wichtigsten Probleme des Allgemeinen Teils. Besonderer Wert wird auf die Technik der Fallbearbeitung sowie auf die Schulung der argumentativen Fähigkeiten gelegt. Im Rahmen der Veranstaltung werden eine Hausarbeit und zwei Klausuren zur Bearbeitung gestellt.

ゼミのテーマ(一覧)
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# by strafrecht_at | 2013-08-10 16:45 | Pawlik
2013年 07月 19日

JakobsとPawlikの犯罪概念:共通点と差異(2)

3.Pawlikの見解
(1)刑罰論:
Person, Subjekt, Bürger: Zur Legitimation von Strafe, 2004
応報刑論のルネッサンス
書評(BÖCKENFÖRDE)
Hegel:抽象的法/道徳性/人倫
Pawlik:人格/主体/市民
市民的義務違反への応報
(2)犯罪論:
市民の不法:一般的犯罪論要綱 Das Unrecht des Bürgers.
導入
体系概念→カントの体系概念
第1章 犯罪の概念
一般的犯罪論は刑法解釈論の中心部分(Herzstück)
-哲学的および解釈論史(dogmengeschichtlich)議論を現在の刑法における犯罪的不法の新たな種類の構想の展開傾向と結合(A)
新構想の出発点を構成するのは刑罰論(B:S.61 ff.; C:S. 82 ff.)
「絶対的理論の叡智(Weisheit der absoluten Theorien)」 (W. Hassemer)の再発見を擁護
犯罪行為(Straftat)を犯すこと=「存立する自由秩序の維持に恊働する市民の義務(Bürgerpflicht..., an der Aufrechterhaltung der bestehenden Freiheitsordnung mitzuwirken)に違反すること」を意味し、刑罰は義務違反に対する報いるものである。
第2章 市民の管轄
この刑罰によって担保される(strafbewehrt)恊働義務の内容を決定する基準の検討
道徳哲学および国家哲学における消極的義務と積極的義務の区別を援用
不作為犯のみならず作為犯および正当化事由とっても重要性を持つ管轄の一般的な体系(ein allgemeines System der Zuständigkeiten)を展開(A: S. 158 ff)
刑法的恊働義務の具体化と同様に重要なのは、その恊働義務に違反したと 看做される条件を挙げる(benennen)ことである。
第3章 刑法的協働義務違反
管轄論(Zuständigkeitslehre)は帰属論(Zurechnungslehre)による補充を必要とする。
伝統的な刑法論は、不法への帰属(Zurechnung zum Unrecht)と責任への帰属(Zurechnung zur Schuld)を区別する。このような2分論にかえて Pawlikは刑事不法(Kriminalunrecht)の統一的な 概念を提唱する。それによれば刑法的に重要な義務は「管轄違反的態度をとるな!(Unterlasse zuständigkeitswidriges Verhalten!)」という一つの義務だけであり(A: S. 257 ff.)、それに対応して,体系的に重要な帰属の検討は、「個々の市民がこの義務に帰属可能な態様で(in zurechenbarer Weise )違反して行為した(zuwidergehandelt)か?」ということに尽きるのである。 →帰属可能性の限界/義務違反の範囲
帰属阻却的禁止の錯誤
過剰防衛
帰属阻却的緊急避難
回避可能性概念
法敵対的刑事不法
4.Jakobs説との共通点:管轄論
作為と不作為という遂行形式論(Begehungsformenlehre)による区別(Feuerbach:S.169)を批判:義務論(消極的義務/積極的義務)による基礎づけを支持(S. 174 ff.):他者尊重義務(S. 178 ff.)/人格的実存の基礎となる現実的条件の保障(S. 186 ff.)
不法/責任の区別に対する批判
*主観的違法論か(So 振津)
「命令説」を採るわけではない
管轄を決定するのはむしろ主に客観面←→特別知識(Sonderwissen)の問題
5.Jakobs説との差異
(1)刑罰論における差異
積極的一般予防論について
応報刑論を支持
敵刑法について
市民刑法のみが定義上正当な刑法であり、それ以外のもの(敵刑法Feindstrafrecht)は正当な刑法ではない(S.110)
(2)帰属論における差異
管轄論/帰属論の区別
【参考文献】
書評
*客観的帰属論
Larenz:Hegelの帰属(帰責)論の継受
Zurechnung=ある人格の仕業(Werk):予見可能性
→Honig:Larenzの構想の除去
→Roxin:哲学的下部構造自体の完全な除去
*1970年以降の政治哲学のルネッサンス
Rawls/Habermasなど→刑法への影響は少ない/哲学への言及は多いが関連を欠いた並列(zusammenhangsloses Nebeneinander)に終わっている→Kant/Hegelの古典哲学の援用のほうがより生産的!

補充:講義「刑法の歴史的・哲学的基礎」
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# by strafrecht_at | 2013-07-19 15:06 | Pawlik
2013年 07月 19日

JakobsとPawlikの犯罪概念:共通点と差異(1)

1.はじめに
刑罰論と一般的犯罪概念の関係
犯罪論の体系
2・Jakobs説の展開
(1)刑罰論
Staatliche Strafe: Bedeutung und Zweck, 2004
『国家刑罰-その意義と目的-』(2013年、飯島暢・川口浩一訳)
「日本語版へのまえがき」◎本書のための書き下ろし
[付録]「どのようにそして何を刑法は保護するのか?—異議と予防,法益保護と規範妥当の保護」(原文付:Wie und was schützt das Strafrecht? ドイツでは未刊)→(2)(ハ)
・コミュニケーション的理解とその認知的補強
規範の意味への異議(行為の意味)→応答としての刑罰
・「規範コミュニケーション的」積極的一般予防論

(2)刑罰論と犯罪論の架橋
イ) Rechtszwang und Personalität, 2008
『法的強制と人格性』 (2012年、川口浩一・飯島 暢訳)「日本語版へのまえがき」◎本書のための書き下ろし
特に第2章「緊急権」
 A.正当防衛
  1.基礎
  2.自己非人格化(Selbst-Depersonalisierung)
  3.法的効果としての人格性の喪失?
 B.区別のために:非関与者に対する法的強制
 C.防御的緊急避難
  1.基礎
  2.穿頭術(Perforation)
  3.コラテラル・ダメージ
[付録]「管轄の段階−行為義務および受忍義務の成立とウエイトに関する考察−」⇒管轄論の基本構想が示されている論文(ドイツでは未刊)
ロ) 刑法的帰属の体系(Sytem der strafrechtlichen Zurechnung, 2012)
I. 導入
A. 刑罰論のスケッチ
B. 体系
「刑法的帰属は、・・・規範がある人格の行為のために確証されねばならず、認知的に補強されなければならない事例を規定するという機能を持つ。」(S.15)
「公的空間における表出の能力のある人格の規範への異議」(S.16)
「体系(System)」=システム論にいうようなシステムではなく、「諸判断(=ここでは「法的」判断)の首尾一貫した連関」(S.16)
外界にあること、行為者の心理にあること→法的意味に翻訳
生命の侵害→人格間の規範(に従う義務)違反
一定のスタンダードの保障、管轄
「まさに行為意味に関して一つの体系を形成しようとする試みの根拠は、異議を唱えられた規範の意味と、その側でその異議に対してさらに異議を唱える刑罰の意味の間に、帰属可能な行為を位置づけること(Stellung)である。」(S.17:強調は原文)
C. Eckpunkte
*犯罪としての行為の意味
ある行為(Verhalten)の犯罪的意義の規定(Bestimmung der deliktischen Bedeutung)として刑法的帰属を把握することである。すなわち、規範への異議としての行為の意味(Sinn)は規範の意味と刑罰の意味を媒介する(vermittelt)。 規範、規範違反および刑罰はコミュニケーション的シークエンス(kommunikative Sequenz)として表現される。
II. 消極的義務違反における帰属→作為と不作為における帰属など
III. 積極的義務違反における特別性→制度的管轄(消防士、両親など)
IV. 要約
A. 行為の意味対規範の意味
B. 消極的義務の詳細
C. 積極的義務  
ハ) 法益保護?刑法の正当性についてRechtsgüterschutz? Zur Legitimation des Strafrechts, 2012
*法益保護論への批判
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# by strafrecht_at | 2013-07-19 10:49 | Jakobs
2013年 07月 18日

市民の不法 Das Unrecht des Bürgers

c0070192_1219361.png
市民の不法ー一般的犯罪論要綱 PAWLIK, MICHAEL Das Unrecht des Bürgers. Grundlinien der Allgemeinen Verbrechenslehre
2012. XIII, 510 Seiten.
ISBN 978-3-16-152189-8
Leinen € 114.00
___________________
一般的犯罪論は刑法解釈論の中心部分(Herzstück)である。Michael Pawlikは、哲学的および解釈論史(dogmengeschichtlich)議論を現在の刑法における犯罪的不法の新たな種類の構想の展開傾向と結合する。 Den Ausgangspunkt von Pawlikの新構想の出発点構成するのは刑罰論である。Pawlikは、「絶対的理論の叡智(Weisheit der absoluten Theorien)」 (W. Hassemer)の再発見を擁護する。犯罪行為(Straftat)を犯すとは、Pawlikにとっては、存立する自由秩序の維持に恊働する市民の義務(Bürgerpflicht..., an der Aufrechterhaltung der bestehenden Freiheitsordnung mitzuwirken)に違反することを意味し、刑罰は義務違反に対する報いるものである。そして彼は、この刑罰によって担保される(strafbewehrt)恊働義務の内容を決定する基準を検討する。道徳哲学および国家哲学における消極的義務と積極的義務の区別を援用し,彼は,不作為犯のみならず作為犯および正当化事由とっても重要性を持つ管轄の一般的な体系(ein allgemeines System der Zuständigkeiten)を展開する。刑法的恊働義務の具体化と同様に重要なのは、その恊働義務に違反したと 看做される条件を挙げる(benennen)ことである。管轄論(Zuständigkeitslehre)は帰属論(Zurechnungslehre)による補充を必要とする。伝統的な刑法論は、不法への帰属(Zurechnung zum Unrecht)と責任への帰属(Zurechnung zur Schuld)を区別する。このような2分論にかえて Pawlikは刑事不法(Kriminalunrecht)の統一的な 概念を提唱する。それによれば刑法的に重要な義務は「管轄違反的行為を行うな!(Unterlasse zuständigkeitswidriges Verhalten!)」という一つの義務だけであり、それに対応して,体系的に重要な帰属の検討は、「個々の市民がこの義務に帰属可能な態様で(in zurechenbarer Weise )違反して行為した(zuwidergehandelt)か?」ということに尽きるのである。

内容
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# by strafrecht_at | 2013-07-18 12:18 | Pawlik
2013年 07月 18日

刑法各論学 Die Wissenschaft vom Besonderen Teil des Strafrechts

c0070192_1292815.jpg刑法各論学−その任務および方法 
Kubiciel, Michael:Die Wissenschaft vom Besonderen Teil des Strafrechts Ihre Aufgaben, ihre Methoden 2013. XIV, 346 Seiten. Kt 49,00 €
Klappenbroschur, Fadenheftung
ISBN 978-3-465-03771-2
Juristische Abhandlungen 54
________________
本書は、刑法各論の基礎に関する研究である。本書は、刑法学が刑法各論の分野において設定する課題、それが満たさなければならない合理性要求(Rationalitätsansprüche)およびそれがこの課題と要求に適切に対応しようとするならば,必要となる方法を提示する。この研究は、現在用いられている理論と方法の Repertoireには補充が必要である(ergänzungsbedürftig)という知見を示す。 刑法学がその解釈論的および刑事政策的任務を純粋に学問的な態様で充足しようとするならば、国家論および刑罰論のレベルにおいての検討が不可欠となる。 このような認識に基づき著者は、一般理論を展開し、その各論における給付能力(Leistungsfähigkeit)を3つの非常に争いのある構成要件、すなわち要求に基づく殺害(Tötung auf Verlangen)、国家危殆化行為の予備、大気汚染(Luftverunreinigung)で提示する。

内容
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# by strafrecht_at | 2013-07-18 11:21 | Kubiciel
2013年 07月 18日

刑法的帰属の体系 System der strafrechtlichen Zurechnung

c0070192_10115389.jpgJakobs, Günther:System der strafrechtlichen Zurechnung2012. 108 Seiten. kt € 18,00
ISBN 978-3-465-04146-7
Schriftenreihe des Käte Hamburger Kollegs "Recht als Kultur" 2
____________________________________
本書の目的は、ある行為(Verhalten)の犯罪的意義の規定(Bestimmung der deliktischen Bedeutung)として刑法的帰属を把握することである。すなわち、規範への異議としての行為の意味(Sinn)は規範の意味と刑罰の意味を媒介する(vermittelt)。 規範、規範違反および刑罰はコミュニケーション的シークエンス(kommunikative Sequenz)として表現される。この構想に基づく著者のここ数(十)年来の検討成果が紹介され,それらが一つの体系に属していることが示される。

内容
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# by strafrecht_at | 2013-07-18 10:07 | Jakobs
2013年 04月 17日

Pawlik教授の授業(2013夏学期)

Lehrveranstaltungen von Prof. Dr. Pawlik
1. Übung im Strafrecht für Vorgerückte
2. Strafrecht, Besonderer Teil
3. Historische und philosophische Grundlagen des Strafrechts
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# by strafrecht_at | 2013-04-17 12:15 | Pawlik
2013年 04月 01日

国家刑罰 -その意義と目的-

c0070192_15175970.jpg
国家刑罰-その意義と目的-
飯島 暢 共訳
川口 浩一 共訳
判 型:A5判上製
ページ:140頁
定 価:1,890円 (本体 1,800円)
ISBN:978-4-87354-560-8
分類コード:C3032
刊行年月:2013年3月
国家刑罰論の本質を思想史的な背景から鋭利に描きだすヤコブス刑罰論の翻訳。付録として、講演「どのようにそして何を刑法は保護するのか?」の翻訳と原文も掲載。訳者による解説文も充実。研究者、実務家その他刑法にたずさわる全ての者にとって必読の書。『法的強制と人格性』と対をなす翻訳シリーズ第2弾!堂々の刊行。
日本語版へのまえがき
啓蒙哲学における目的刑
カントにおける応報刑
フォイエルバッハにおける威嚇予防
異議と苦痛賦課
他者の威嚇,特別予防
人格対敵
〈解説1〉ヤコブスにおける刑罰の現実性と認知的保障
〈解説2〉ヤコブス説における刑罰理論と刑法理論の関係について
[付録]
どのようにそして何を刑法は保護するのか?(和文)
 —異議と予防,法益保護と規範妥当の保護
Wie und was schützt das Strafrecht?(独文)
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# by strafrecht_at | 2013-04-01 11:39 | Jakobs