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2005年 09月 09日
わが国には、構成要件の実現にとって作為と不作為の区別は重要ではないという考えは、ドイツ刑法13条を前提に主張しうるものであるとする見解がある(文献)。すなわち、保障人的義務の侵害に関して、支配という考えが馴染みうる組織化管轄にもとづく義務の違反の場合以外は、わが国では、保障人的義務に違反する作為および不作為を同じに扱ってよいという基盤はないとするのである。通常の犯罪が制度的管轄にもとづく義務に違反した不作為によってなされた場合については、そもそも当該構成要件に該当するということができるかどうかが問題とされねばならないとし、刑法218条のような真正不作為犯規定や身分犯規定、すなわち特別の義務犯構成要件必要であるとする。従って制度的管轄に基づく不作為の殺人罪は認められず、たとえ故意があっても、218条の保護責任者不保護罪でしか処罰できないことになる。しかしながら、一方でJakobs説に依拠し作為・不作為といった行為態様が負責判断にとって重要ではないとしながら、他方で作為の「因果力」や結果に対する「支配」を問題にするのは矛盾した結論である。ドイツ刑法13条によって初めて不作為犯が処罰されるとするのは、なお因果的思考に囚われたものといわざるを得ない。問題は、「因果力」の有無ではなく、およそ不作為犯を基礎づける義務が存在しているかどうかであり、その義務自体は必ずしも構成要件上明示されてはいないのである。罪刑法定主義の問題は「殺す」という言葉に不作為の態様が含まれるかどうかが、問題となるが少なくとも日常用語法のレベルにおいては、不作為であっても「殺す」という言葉が使われる場合があり、必ずしも作為だけに用いられているわけではない。
by strafrecht_at | 2005-09-09 19:06 | 不作為犯論
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